弁護士による問題社員対応

1 こんな問題社員の対応に悩んでいませんか?

・ 無断欠勤や遅刻を繰り返す社員

・ 業務命令に従わない又は業務怠慢の社員

・ ハラスメントを繰り返す社員

・ 能力不足(ローパフォーマー)な社員 など

2 問題社員への対応方法

(1) 問題行動についての指導・教育

問題社員対応は、まず、指導・教育から始まります。

適切な指導や教育によって態度が改まり、企業に貢献してくれるようになればいうことはありません。

他方、態度が改まらない場合は、適切な指導や教育を行ったというプロセスは、後の処分の布石となります。

指導や教育に際しては、指導、教育の日時、内容が分かるように記録を残す必要があります。

使用者からの指導内容が残るように書面での注意、指導を実施します。口頭での注意を行ったうえで書面を交付し、受領の証拠を残すべくために社員に署名してもらう場合もあります。

書面を交付する前には、コピーを取っておくことを忘れないでください。

教育として研修等を受講させた場合にも、必ず記録が残るようにしてください。

(2) 社員との面談

指導・教育の一環として、通常、社員との面談が行われます。

この際に注意すべきは、後にパワーハラスメント等の主張がなされる可能性が高いということです。

近時、スマートフォンなどによる会話の録音が容易になっており、社員との会話が録音されるケースが多くなっています。指導・教育には、録音されているという前提で当たる必要があります。

また、社員からのパワーハラスメントの主張に対抗するために、場合によっては企業側も録音を検討すべきです。

そして、挑発に乗って感情的になったり、逆にやり込められたりすることが無いよう、一人で対応することは避け、複数人で対応してください。

(3)配置転換

指導、教育によっても現在の職務を十分に行うことができない場合で、雇用契約上の職種限定などが無く、かつ、社内に配置転換可能な業務がある場合は、配置転換を検討することになります。

配置転換のみが行われる場合と、懲戒処分と併せて行われる場合があります。

原則として、企業の人事権には広い裁量が認められますが、業務上の必要性が無い場合や、不当な動機・目的をもってなされた場合、社員に著しい不利益を負わせるものである場合などには、違法の評価を受ける場合がありますので、注意が必要です。

(4)懲戒処分

就業規則に懲戒事由が定められており、社員の言動が懲戒事由に当たる場合には、懲戒処分を行うことができます。

懲戒処分は就業規則に基づいて行われますが、一般に、譴責、戒告、減給、出勤停止、降格、諭旨解雇、懲戒解雇などがあります。

社員の非違行為の程度との均衡を欠く処分は無効と判断される場合がありますので、就業規則の条文や裁判例などの先例などを踏まえ、適切な処分を選択する必要があります。

(5)弁護士に相談するべきタイミング

問題社員対応は、時として長期的視点での計画的な対応が必要です。

また、対応を誤るとそのことが後々不利に働く場合がありますし、いつまでも問題社員に悩まされ続けることになりかねません。

問題社員への対応にお悩みの方は、まずは弁護士に相談することをお勧めします。

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3 問題社員を解雇するためには

問題社員への対応として、経営者の方からのご相談が最も多いのは解雇についてです。

解雇は、労働者の生活の糧を奪うことになるという重大性から法的規制も厳しく、最もトラブルになりやすい労働問題です。

(1)安易な解雇は危険

労働契約法16条は、解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする旨を定めています。

(2)解雇が無効と判断された場合のリスク

企業が解雇を行った場合、社員は出勤しなくなり業務を行いません。しかし、後に解雇が無効と判断された場合には、解雇時に遡って給与全額を支払う必要があります。

また、社員が復職を求める場合には復職させざるを得ず、難しい対応を迫られます。

(3)解雇の有効性の判断

解雇について客観的に合理的な理由があるか、また、社会通念上相当といえるかについては、慎重な検討が必要です。

まず、どのような事実を以て解雇理由とするかが重要です。

経営者の方が解雇を決断せざるを得ないような社員については、一つだけでなく様々な問題がある場合が多いですが、そのなかから、実務上解雇理由となりうる問題を抽出することは意外に難しい作業です。経営者の方が問題視しているポイントと、弁護士が問題と感じるポイントは往々にして異なります。

次に、その事実を前提として解雇が認められるか否かは、過去の裁判例などの実例を踏まえた判断が必要であり、労働問題に関する専門知識と経験が必要です。

(4)退職勧奨という選択肢

経営者が解雇したいと考える社員の中には、明らかに解雇が有効と判断できるケースもあれば、解雇が困難と思われるケースや、微妙なケースもあります。

解雇が困難な場合や判断が難しい場合には、退職勧奨による合意退職を検討することになります。

社員が納得していない場合に解雇を断行すると、もしかすると紛争に発展するかもしれないという不安定な状況が生まれます。

他方、退職勧奨により合意退職となった場合には、紛争に発展することはほとんどありません。

そのため、解雇が可能と思われる場合にも、あえて退職勧奨を選択することもあります。

4 当事務所でできること

当事務所では、豊富な問題社員対応の経験をもとに、問題社員対応についての法律相談、書面作成、問題社員対応バックアッププラン、退職勧奨・解雇処分サポート、就業規則改訂サポート、労働審判・訴訟対応など、多彩なメニューをご用意しております。

問題社員対応にお悩みの経営者の方は、まずは法律相談にお越しください。貴社のお悩みをお聞きし、必要なサービスをご提供いたします。

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5 問題社員対応メニュー

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藤本 尊載

玉藻総合法律事務所代表弁護士。企業側の弁護士として多数の顧問先を持つ。労務問題をはじめとした企業の法的トラブルに精通。他士業に向けたセミナー講師も務める。

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