運送業に強い顧問弁護士

1 運送業界の動向

(1)小口化・多頻度化

国内自動車貨物輸送量は、長らく減少傾向を辿ってきましたが,ここ数年はEコマースの拡大等から下げ止まりつつあります。もっとも、Eコマースの拡大等などによる貨物輸送の小口化・多頻度化が進展しており、トラック運送業者にとっては負担増加や効率性低下に繋がっています。

(2)人手不足

トラック運送業は低賃金・長時間労働のイメージがあることなどから若年者から敬遠される傾向があり,ドライバー不足が年々深刻化しています。また,これに伴い就業者の高齢化も進展しています。

(3)廃業・集約・再編の増加

トラック運送業は、車両数30両以下の事業者が8割超を占めています。00年代半ばまでは規制緩和等を背景に事業者数は増加してきたものの、近時,業績悪化や創業者の高齢化等に伴い事業からの撤退も増加しています。一方で、一部の大手・中堅業者はドライバー不足が深刻化する中で買収や提携によるドライバー確保、外注業務の内製化を図っており、緩やかながら事業者の集約・再編が進んでいます。

2 運送業についてよくあるご相談

元請業者,下請業者,荷主とのトラブル

荷物の破損,遅延による損害賠償

事故による運送中の荷物の破損や交通事情による遅延などを理由に,荷主や元請け業者から損害賠償を求められることがあります。

原則として契約内容に従って処理されることになりますが,損害の算定につき争いがある場合や,先方から不当な主張がある場合,弁護士が交渉をお手伝いします。

売掛金の回収

売掛金が適切に支払われない場合,その額や業績によっては資金繰りに影響を及ぼす恐れもあります。また,取引先に信用不安がある時は,迅速かつ適切な対応が必要です。お早めに弁護士にご相談ください。

運送契約をめぐるトラブル

優越的な地位を利用して一方的に不利な条件を押し付けられた,契約の解釈に争いがある,一方的に契約解除を通告された,契約締結交渉を依頼したいなど,契約をめぐるご相談は多岐に渡ります。不本意ながらも契約書や合意書に押印してしまうと,その条件に同意したものと扱われ,効力を争うことができなくなる場合があります。お早めにご相談ください。

運送中の交通事故

車両修理費

大型車両や特殊車両については,修理費や時価額について相手方保険会社と争いになる場合があります。保険会社との交渉にあたっては,適切な資料を収集する必要があります。お早めにご相談ください。

休車損害

車両の修理のために休車せざるを得なくなり,損害を被った場合,休車しなければ得られたであろう利益相当額の賠償を求めることができます。休車損害の賠償を求めるためには,適切な資料を収集する必要があります。お早めにご相談ください。

傭車費用

車両の修理のために傭車が必要になった場合,傭車費用相当額の賠償を求めることができます。傭車費用の賠償を求めるためには,適切な資料を収集する必要があります。お早めにご相談ください。

荷主に対する賠償

荷主に対する賠償は,取引関係維持の観点からも,適切かつ迅速に対応する必要があります。対応を誤ると,取引先を失ったり,無用なトラブルを引き起こす恐れがあります。早期に弁護士にご相談いただくことで,正しい見通しを持ち,適切,迅速な処理を行うべきです。

ドライバーの労務管理

労働時間管理

事業者は,従業員の労働時間を適切に把握する義務を負います。

適切な把握が行われていない場合,従業員が健康を害して労災問題に発展したり,労働基準監督署から是正勧告を受ける場合があります。

また,2020年4月に未払い残業代請求権の時効が2年から3年に延長されました。これに伴ない,長期間の未払い残業代を請求されるリスクが増しており,適切な労働時間管理と,残業代を適切に管理する必要があります。

十分な労働時間管理を行っていない事業者様は,お早めにご相談ください。

残業代請求

事業者が従業員を残業させた場合,当然に残業代を支払う義務がありますが,従業員から請求がある残業代の金額が正しいとは限りません。2020年4月には未払い残業代請求権の時効が2年から3年に延長され,残業代請求のリスクはより高まっています。従業員から残業代を請求された場合や,残業代の支払が正しく行われておらず請求を受ける不安をお持ちの方は,お早めにご相談ください。

問題社員対応

荷主や取引業者とトラブルを起こしたり,繰り返し事故を起こすドライバーなど,勤務に問題があるドライバーはいませんか。そのようなドライバーには,注意指導を行うことはもちろんですが,それでも改善や反省が見られない場合は,懲戒処分を検討する必要があります。

もっとも,正しい手順を踏まずに懲戒解雇などを行った場合,後に解雇無効の訴訟を起こされるなど,思わぬトラブルに発展する場合があります。

問題社員対応は,専門知識に基づいて慎重に行う必要があります。まずは弁護士にご相談ください。

労災問題

交通事故や過重労働による疾患など,運送業界は,労働災害が発生しやすい業種といえます。

災害の発生について,事業者に安全配慮義務違反が認められる場合,事業者に対して損害賠償を求められることがあります。

事業者の責任の有無や,賠償額については,専門知識に基づいた判断と対応が必要です。まずは,弁護士にご相談ください。

The following two tabs change content below.

藤本 尊載

玉藻総合法律事務所代表弁護士。企業側の弁護士として多数の顧問先を持つ。労務問題をはじめとした企業の法的トラブルに精通。他士業に向けたセミナー講師も務める。

「運送業に強い顧問弁護士」の関連記事はこちら