経費の不正請求の証拠を収集し、不正行為を働く問題社員を自主退職につなげた事例
企業概要
機械設備製造業 従業員50~100名
お問い合わせの経緯
従業員による経費の精算に不審な点が発覚し、普段の勤務態度も良くない従業員であったため、対処について当事務所に相談されました。
相談内容
依頼者によると、当該従業員は営業を担当しており、営業成績は良いものの、普段からやや傲慢な態度が見られました。
毎月の大半は県外に出張しており、事務所に出社するのは月に3日程度で、経費精算の際に提出される出張報告書により、行動がわかるというような状況でした。
ところが、取引先とのやり取りの中で、出張報告書では当該取引先を訪問していたはずの日に、訪問していなかったことが判明しました。
そこで、レンタカーの利用明細や出張報告書を確認したところ、不審な点が複数見つかったため、本人を呼んで問いただしたところ、出張報告書の一部が事実と異なることは認めたものの、様々な弁解もなされました。
社長としては、成績が良いとはいえ、他の社員に傲慢な態度をとったり、不正を働くことは許しがたく、可能であれば退職させたいとのことで、当事務所に相談に来られました。
弁護士の対応
来所された時点で特定した事実のみでは退職の材料としては弱く、資料の精査も不十分と思われたことから、弁護士が再度資料の精査を行いました。
その結果、自認していたもの以外にも報告書の虚偽記載が判明し、行っていない移動経費の横領等、複数の経費の不正請求が明らかになりました。
そこで、弁護士が当該従業員と面談し、資料を示しながら聴取を行い、複数の不正を認めさせました。
そして、不正を行った事実を認める確認書と、不正請求分の返済についての誓約書に署名をさせ、後日、懲戒解雇を含めた処分を検討するから、当面、自宅で待機するよう命じました。
その後、当該従業員から自主退職の申し出があり、社長も懲戒解雇にはこだわらないとのことでしたので、自主退職を認めました。
弁護士の所感
従業員による不正を主張するためには、証拠による裏付けが必要です。
しかし、大量の資料の収集や分析は、時間や手間を要するうえに、一般の方には容易な作業ではありません。
また、収集、分析した資料をもとに、具体的な事実を抽出し、本人に認めさせることには、一定の訓練が必要になります。
そのような作業を社内で一から行うためには相当な時間を要するうえに、極めて非効率です。
また、社員との面談を弁護士が実施することにより、解雇無効や退職強要などといった後日の紛争を抑止する効果も期待できます。
従業員の不正が疑われる場合など、従業員を退職させることを念頭に置いた対応をお考えの場合は、お早めに弁護士に相談され、調査を含めて依頼されることをお勧めします。
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藤本 尊載
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