解雇・退職勧奨についてのポイントとは?【香川の弁護士が解説】

企業にとっての解雇について

解雇とは

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解雇とは、「使用者による一方的な労働契約の解約」のことを言います。

ですから、使用者から申し入れを行ったとしても、労働者がそれに同意し、双方の合意によって退職が決まったような場合には、解雇ではなく、後に説明する退職勧奨になります。

不用意に「解雇」などと言ってしまうと、解雇についての厳しい規制を受ける可能性がありますので、注意が必要です。

解雇の種類

解雇には,大きく分けて,

  • 普通解雇 雇用契約の中途解約としての解雇
  • 懲戒解雇 懲戒処分としての解雇

があり、それぞれ、認められるための要件があります。

普通解雇

普通解雇については、たとえば、就業規則などに次のような解雇事由が定められています。普通解雇については、就業規則等の規定が無くても可能ですが、規程がある場合には、その定めるところによります。

①勤務状況が著しく不良で、改善の見込みがなく、労働者としての職責を果たし得ないとき。

②勤務成績又は業務能率が著しく不良で、向上の見込みがなく、他の職務にも転換できない等就業に適さないとき。

③業務上の負傷又は疾病による療養の開始後3年を経過しても当該負傷又は疾病が治らない場合であって、労働者が傷病補償年金を受けているとき又は受けることとなったとき(会社が打ち切り補償を支払ったときを含む。)。

④精神又は身体の障害により業務に耐えられないとき。

⑤試用期間における作業能率又は勤務態度が著しく不良で、労働者として不適格であると認められたとき。

⑥懲戒解雇事由に該当する事実が認められたとき。

⑦事業の運営上又は天災事変その他これに準ずるやむを得ない事由により、事業の縮小又は部門の閉鎖等を行う必要が生じ、かつ他の職務への転換が困難なとき。

⑧その他前各号に準ずるやむを得ない事由があったとき。

解雇が認められるためには、就業規則が定める解雇事由が認められると共に、「客観的に合理的な理由があること」、「社会通念上相当であること」が必要とされています。

一概に、「客観的に合理的な理由があること」、「社会通念上相当であること」といっても、一般の方には判断が難しいですが、解雇については、労働者の収入の道が閉ざされることになることから、我が国の労働法制上、厳格に審理されており、安易な解雇は無効とされる場合があります。

たとえば、①の勤務態度不良や、②の能力不足による解雇の「合理性」「相当性」の判断に当たっては、

当該企業の種類、規模、職務内容、労働者の採用理由(職務に要求される能力、勤務態度がどの程度か)、勤務成績、勤務態度不良の程度(企業の業務遂行に支障を生じ、解雇しなければならないほどに高いかどうか)、その回数(1回の過誤か、繰り返すものか)、改善の余地があるか、会社の指導があったか(注意・警告をしたり、反省の機会を与えたりしたか)、他の労働者との取り扱いに不均衡はないかなどが検討されます。

懲戒解雇

懲戒解雇については,たとえば,就業規則などに次のような規定が置かれています。

普通解雇と異なり,懲戒解雇については,就業規則等の規定が無ければ行うことはできません。

第●条 労働者が次のいずれかに該当するときは、懲戒解雇とする。ただし、平素の服務態度その他情状によっては、普通解雇、減給又は出勤停止とすることがある。

①重要な経歴を詐称して雇用されたとき。

②正当な理由なく無断欠勤が 日以上に及び、出勤の督促に応じなかったとき。

③正当な理由なく無断でしばしば遅刻、早退又は欠勤を繰り返し、 複数回にわたって注意を受けても改めなかったとき。

④正当な理由なく、しばしば業務上の指示・命令に従わなかったとき。

⑤故意又は重大な過失により会社に重大な損害を与えたとき。

⑥会社内において刑法その他刑罰法規の各規定に違反する行為を行い、その犯罪事実が明らかとなったとき(当該行為が軽微な違反である場合を除く。)。

⑦素行不良で著しく社内の秩序又は風紀を乱したとき。

⑧数回にわたり懲戒を受けたにもかかわらず、なお、勤務態度等に関し、改善の見込みがないとき。

⑨等々・・・・・

懲戒解雇の場合も、普通解雇と同様に、就業規則が定める解雇事由が認められると共に、「客観的に合理的な理由があること」、「社会通念上相当であること」が必要とされています。

懲戒解雇については、普通解雇よりも労働者に対する不利益が大きいことから、「客観的に合理的な理由があること」、「社会通念上相当であること」については、より厳格に判断されます。

例えば、①の経歴詐称については、最終学歴、職歴、犯罪歴などについての詐称が重要な経歴の詐称に当たりますが、さらに、詐称の内容や当該労働者の職種などに即して個別に判断すべきものとされています。

また、②や③の無断欠勤、遅刻、早退についても、欠勤が2カ月以上に及んだり、遅刻早退が数十回に及ぶなど、著しく職場の秩序を乱す場合にのみ認められています。

従業員の解雇について弁護士に依頼するメリット

従業員の解雇については、「客観的に合理的な理由があること」、「社会通念上相当であること」などの要件を満たすか否かの判断が抽象的で難しく、労務問題に詳しい弁護士でなければ、判断は困難です。

また、解雇を断行し、後に無効と判断された場合には、解雇後の給与をさかのぼって支払う必要があるなど、リスクも非常に大きいです。

当事務所では、現時点での解雇の可否についてのご助言はもちろん、争いになりにくい手続の進め方のご助言、労働者との面談の代行など、解雇を円滑に進めるためのサポートを実施しております。

また、問題社員ではあるものの、現時点での解雇が難しい場合についても、今後の問題社員への対処方法のご助言、将来の解雇につなげるための定期面談の代行、将来の解雇に向けた計画の策定などのサポートを実施しております。

解雇したい労働者がいる、という事業者様は、ぜひ、当事務所にご相談ください。

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企業側にとっての退職勧奨について

退職勧奨とは

退職勧奨とは、従業員に対して退職を勧めることであり、その最終的な目標は、会社と従業員との合意により雇用契約を終了させることにあります。

退職勧奨の有用性

会社側が従業員に退職してもらいたいと考えた場合、まず「解雇」という方法が浮かんでくるかもしれません。

しかし、解雇は、従業員の意思とは関係なく会社側から一方的に雇用契約を終了する手法であるため、従業員との紛争を招きやすい方法です。

また、法律上の厳しい制限を受けますので、従業員を解雇したものの、後日、裁判所によってその解雇が無効と判断され多大な金銭を支払わざるを得なくなるケースがあります。

このように解雇には大きなリスクがある一方、双方の同意を前提としている合意退職であれば、上記のようなリスクは大きく減らすことができます。

リスクを避けたい場合や、解雇の要件は満たさないものの退職してほしい場合などには、解雇ではなく、退職勧奨を行って合意退職を目指すことを推奨します。

退職勧奨の注意点

ア 退職により従業員は生活の糧を失うことになりますので、唐突に退職を勧めたところで、即座に応じる従業員はほとんど居ません。

問題がある従業員に対しては、日ごろから注意・指導や懲戒処分等を行い、自身の問題点を自覚させておくことが重要です。

また、退職時の条件交渉を行う場合に備え、会社側が提示する条件をあらかじめ検討しておく必要もあります。

そして、面談を担当する適切な人員を選定し、納得して退職してもらえるよう根気よく説得していくことになります。

イ また、退職勧奨を行う際の会社側の言動によっては、「退職の強要」と受け取られてしまう危険があるので注意が必要です。

「退職の強要」、すなわち違法な退職勧奨行為と判断されてしまうと、損害賠償を請求されたり、退職の合意自体が無効とされかねません。

したがって、「退職の強要」とならないよう、説明や説得に当たっては注意が必要です。

「退職の強要」と受け取られないために

たとえば、以下のような言動は、「退職の強要」と受け取られる危険性を高めることになるので控えなければいけません。

・従業員1名に対して、大人数で面談する

・大声を出したり、机を叩く

・「退職しなければ解雇する」と告げる

・仕事を取り上げる・配置転換などの嫌がらせを行う

・長時間、多数回の面談を行う

・従業員が退職に応じない意思を明確に示した後も、執拗に面談を繰り返す

昨今、従業員が会社側とのやり取りを録音しているケースが非常に多くみられます。

面談の際は、従業員側に録音されていることを前提として、感情的にならず慎重な言動を心がける必要があります。

また、後日に備えて、会社の側でも従業員との面談を文書や録音等で記録しておくべきでしょう。

従業員の退職勧奨について弁護士に依頼するメリット

当事務所では、法律相談による退職勧奨の進め方についてのご助言、退職勧奨期間中のメールや電話による継続的サポート、退職勧奨のための面談への立会い、面談の代行など、事業者様のニーズに合わせて、様々な方法で退職勧奨に関与した実績があります。

まずはお気軽にご相談ください。貴社のニーズに合わせた解決法をご提案いたします。

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解雇関連サービス

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藤本 尊載

玉藻総合法律事務所代表弁護士。企業側の弁護士として多数の顧問先を持つ。労務問題をはじめとした企業の法的トラブルに精通。他士業に向けたセミナー講師も務める。

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