解雇無効等の主張がされたが、弁護士が対応して未払い残業代の支払のみで解決した事例
企業概要
特定非営利活動法人 従業員1~10人
お問い合わせの経緯
勤務態度に問題がある従業員を解雇したところ、当該従業員から、解雇の無効を主張し、解雇理由証明書の発行を求める通知が届いたため、顧問の社会保険労務士の先生を通じて、当事務所に相談に来られました。
ご相談内容
依頼者によると、当該従業員は、他の従業員との協調性を欠き、自分の非は認めない、自分の立場が悪くなると投げ出してしまうなどの問題行動があり、周囲から孤立し、円滑な業務ができていませんでした。また、自身の要望が通らないなど気に入らないことがあると、もう出勤しないと告げて退社することが複数回あり、人員に余裕がない依頼者の事業所では、そのたびに大きな混乱を来していました。
依頼者としては解雇の撤回は考えておらず、解雇の有効性を主張し、争ってほしいとのご希望がありました。
弁護士の対応
弁護士は、理事長及び数名の従業員の方からヒアリングを行い、解雇の理由になりうる相手方の問題行動を整理しました。法律上解雇の理由となりうる問題行動を、法律の専門家ではない経営者の皆様が整理することは容易ではありません。事実経過を丁寧にお聞きするなかで、経営者の方が気付いていない大きな問題行動が発見されることは少なくありません。
弁護士は、ヒアリングの結果を踏まえて解雇理由証明書を作成するとともに、再度、予備的な解雇の意思表示を行う通知とともに、相手方に送付しました。
普通解雇の有効性は、解雇の意思表示を行った時点で存在する客観的事実をもとに判断されますので、1回目の解雇の意思表示後にも問題行動があった場合は、再度予備的に解雇の意思表示を行う場合があります。
その後、相手方は弁護士に依頼して、解雇無効の確認と未払い残業代の支払いを求めて労働審判を申し立てましたので、当事務所の弁護士が代理人として対応しました。
労働審判においては、解雇が有効であることを前提に、未払い残業代のみを支払う内容の調停が成立し、解決となりました。
弁護士の所感
解雇の有効性が争点になる場合、どのような解雇理由を主張するかが重要なポイントとなります。
本件では、解雇理由証明書の発行を求められた段階でご相談いただけましたので、当初から説得的な解雇理由の主張ができたことが、有利な解決につながりました。
もっとも、事案によっては、解雇を通知する前段階でご相談いただくことで、退職勧奨など、トラブルを事前に回避する方法をとることができる場合もありますので、問題がある従業員に退職して欲しいというお悩みをお持ちの経営者の方には、できるだけ早く弁護士にご相談いただきたいと思います。
問題のある従業員についてお悩みの方は、是非当事務所にご相談ください。
藤本 尊載
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