不動産業に強い顧問弁護士
Contents
1 不動産業界の動向
(1)不動産業界を取り巻く社会情勢の変化
ア 少子高齢化・人口減少
我が国の総人口は2008年の約1億2800万人をピークに減少を始め,2030年には約1億1900万人,2065年には約8800万人になると見込まれています。また,高齢化が急速に進展し,従来の家族類型の主流であった「夫婦と子」の世帯が減少する一方で,単身者世帯,特に高齢者の単身世帯の増加が見込まれます。
イ 情報技術の進展
テレビ会議システム等IT技術の進展により,遠隔地にいても業務が可能になったほか,Eコマースの活用により店舗に行かなくても必要なサービスや財を入手できるようになりました。
こうした環境変化により,どこでも生活し,どこでも働くことができる社会が実現する可能性があり,不動産の立地に関する制約が緩やかになる可能性があります。
(2)社会のニーズの変化
ア 消費者ニーズの変化
国土交通省の調査によると,土地を,預貯金や株式などに比べて有利な資産であると考える国民の割合は年々減少しています。
少子高齢化・人口減少と相まって,今後,不動産全般のニーズが低下することが考えられます。
住宅については,依然として持ち家志向は強いものの,賃貸住宅での居住ニーズも増加しています。また,新築住宅に加えて,既存住宅を選択肢に入れる消費者が大都市圏を中心に増加しているのも近時の傾向です。
また,単身世帯,特に単身高齢者世帯が増加することによるニーズの変化もあります。
イ 企業ニーズの変化
人材獲得,生産性向上の観点から,快適性・利便性の高いオフィス空間に対するニーズが高まりつつあります。フリーアドレス,オープンなミーティングスペース,コワーキングスペース等を導入する事例や,働き手の健康を支えるため,リフレッシュスペース,仮眠室,スタンディングデスク等を導入する事例も登場しています。
一方で,情報技術の進展に伴い,必ずしも働く場を固定化する必要がなくなってきたことや,育児・介護と仕事の両立等を図るワークライフバランスの観点から,テレワークを導入する企業が拡大しているほか,サテライトオフィスなどを活用する企業も出てきています。
オフィスの機能の集積と分散を適切に組み合わせるオフィスニーズの拡大が期待されます。
(3)高松市など四国の地方都市における不動産業の役割
高松市など四国の地方都市においては,大都市圏への人口流出や少子高齢化による人口減少によって,全体で見ると不動産に対するニーズは縮小が予想されます。
他方で,未だ堅調な持ち家志向,情報技術の進展による大都市圏からの移住やサテライトオフィスの新設などのニーズも存在します。
また,世帯単位の変化によるリフォームや住み替え需要,オフィスニーズの変化によるオフィス移転需要,消費者ニーズの変化による既存住宅の流通促進など,新たに取り組むべきニーズや課題も生まれています。
こうしたニーズや課題への対応としては ,各地域の個性を活かしつつ,その魅力を高めるとともに,都市から地方への移住・住み替えや,二地域居住・就労などライフスタイルやライフステージに応じた暮らし方を提案する既存ストックの有効活用策や,利活用が見込めない不動産を「たたみ」,新たな活用方策を提案するなど不動産活用のコンサルティング機能の強化が求められています。
2 不動産業についてよくあるご相談
売買に関するトラブル
・会社で使用している売買契約書をチェックして欲しい。
不動産取引の仲介を行う事業者様であれば,通常の取引において使用する契約書のひな形を用意されていると思います。
しかし,その条項の一つ一つはベストな内容になっていますか。また,当該取引で予想されるトラブルに十分対応できる内容になっていますか。
不動産取引は,物件ごとに様々な条件が付いたり,買主から特別な要望が出されることもあり,用意したひな形で契約しておけば大丈夫というものではありません。
また,法改正にもタイムリーに対応する必要があります。
これを怠ると,思わぬトラブルに巻き込まれたり,不利益をうける可能性があります。
トラブルや不利益を避けるためには,ひな形の条項を十分に検討するとともに,不動産取引に詳しい弁護士のチェックを受けることが重要です。
・土地や建物の瑕疵について,売主はどのような責任を負うのか。
2020年4月の民法改正によって,従来の瑕疵担保責任のルールが変更され,契約不適合責任に名称も改められました。目的物に瑕疵がある場合,買主は,修補や代替物の提供等の追完請求,代金減額請求,損害賠償請求及び契約の解除ができるものとされています。
行使期間の制限なども踏まえ,適切に対応する必要があります。
また,契約不適合責任は,いわゆる任意規定であり,契約によって責任を負わないように定めたり,責任を軽減できる場合もあります。
よって,契約時の契約書の作成やチェックも非常に重要になります。
賃貸に関するトラブル
・会社で使用している賃貸借契約書をチェックして欲しい。
賃貸借契約は一回的な取引ではなく,長期間の契約継続を前提とするため,契約成立から終了までの間に,様々な問題が生じる場合があります。
たとえば,賃料の滞納,漏水・騒音などの近隣トラブル,賃料の減額・増額,契約解除による明渡,原状回復などその種類は多岐に及びます。
このようなトラブルに適切に対処するためには,借地借家法や消費者保護法,宅建業法などの規制を理解したうえで,適切な内容の契約書を作成する必要があります。自社の契約書について弁護士にチェックを受けられたことが無い方は是非ご相談ください。
・賃料を滞納する借主との契約を解除したい。
賃貸借契約は,信頼関係に基づく長期的な契約を前提とするため,賃料の滞納があったからといって,直ちに契約解除が認められるわけではありません。
かといって長期間放置して滞納賃料が多額になると回収が困難になる可能性があります。また,催告をおこなうと数カ月分をまとめて支払うことを繰り返すような借主への対応に困ることもあります。
賃貸借契約の解除には,信頼関係の破壊が必要とされており,手順を誤ると解除がなかなか認められません。
不誠実な借主への対応をお考えの場合,お早めに弁護士にご相談ください。
不動産仲介・管理に関するトラブル
・重要事項説明においてどこまで説明する必要があるか。
不動産売買や賃貸借の仲介を行う場合,仲介業者は,重要事項の説明義務を負います。
しかし,例えば,何十年も前に人が亡くなったことがある物件について,わざわざそのことを説明する必要があるのでしょうか。わざわざ話せば,契約をやめてしまう人もいるかもしれません。
このような場合は,亡くなった理由や,そのエピソードが地域にどれくらい浸透しているかなどによって判断が分かれるのですが,そのような知識が無いと,取引の機会を失ったり,逆に法的責任を問われる可能性もあります。
不動産を扱う事業者としては,日常的に問題となるこのような問題について,気軽に相談できる顧問弁護士を持つべきです。
・住民同士のトラブルに,管理会社としてどのように対処すればよいか。
住民同士のトラブルについて,管理会社として仲裁を求められる場合があります。
このような場合に,どこまで関与したり,どこまで責任を持つ必要があるのでしょうか。一方当事者に,明らかな用法違反があるなど,契約上の根拠を持って注意や契約解除が検討できる場合は対応の余地がありますが,そのようなレベルに至らない場合には,困難な問題が生じます。
双方の言い分の法的正当性を踏まえ,深入りしすぎず,適切に対処する必要があります。対応に迷われるときは,是非弁護士にご相談ください。この程度のことで,,,と思われるようなことでも気軽にご相談いただくことが,貴社のノウハウの蓄積や,深刻なトラブルの回避につながります。
・管理している物件についての交渉や訴訟の対応を依頼したい。
話し合いで解決できる事案については,事実上,管理会社にて対応している場合もあろうかと思います。
しかし,賃借人とのトラブルなどで,何度話し合いを行っても解決のめどが立たなかったり,身の危険を感じるような場合もあるのではないでしょうか。
そのような場合に,対応を依頼できる弁護士がいれば,速やかにオーナーに紹介し,対応を弁護士に交代することができます。
弁護士とのネットワークは,管理会社の負担やリスク軽減とともに,オーナー様へのサービス向上にもつながります。
不動産会社従業員の労務管理
・労働時間管理
事業者は,従業員の労働時間を適切に把握する義務を負います。
適切な把握が行われていない場合,従業員が健康を害して労災問題に発展したり,労働基準監督署から是正勧告を受ける場合があります。
また,2020年4月に未払い残業代請求権の時効が2年から3年に延長されました。これに伴ない,長期間の未払い残業代を請求されるリスクが増しており,適切な労働時間管理と,残業代を適切に管理する必要があります。
十分な労働時間管理を行っていない事業者様は,お早めにご相談ください。
・残業代請求
事業者が従業員を残業させた場合,当然に残業代を支払う義務がありますが,従業員から請求がある残業代の金額が正しいとは限りません。2020年4月には未払い残業代請求権の時効が2年から3年に延長され,残業代請求のリスクはより高まっています。従業員から残業代を請求された場合や,残業代の支払が正しく行われておらず請求を受ける不安をお持ちの方は,お早めにご相談ください。
・問題社員対応
顧客とトラブルを起こしたり,ミスを繰り返すなど,勤務に問題がある従業員はいませんか。そのような従業員には,注意指導を行うことはもちろんですが,それでも改善や反省が見られない場合は,懲戒処分を検討する必要があります。
もっとも,正しい手順を踏まずに懲戒解雇などを行った場合,後に解雇無効の訴訟を起こされるなど,思わぬトラブルに発展する場合があります。
問題社員対応は,専門知識に基づいて慎重に行う必要があります。まずは弁護士にご相談ください。
・労災問題
交通事故や過重労働による疾患など,労働災害はいつ発生するかわかりません。
災害の発生について,事業者に安全配慮義務違反が認められる場合,事業者に対して損害賠償を求められることがあります。
事業者の責任の有無や,賠償額については,専門知識に基づいた判断と対応が必要です。まずは,弁護士にご相談ください。
3 弁護士によるサポート内容
1 不動産事業者様向けの法務顧問契約
不動産売買,不動産賃貸,不動産管理などに関するトラブルや,従業員の労務管理をめぐる問題,問題社員対応など,不動産事業者様が直面する様々な法的問題に対してアドバイスを行います。
不動産業は,当事務所の顧問先の中でもとくに相談の件数が多い業種です。会社の代表者のみならず,各従業員が,日々の業務で起こる問題を弁護士に相談できます。
2 契約書,就業規則等,法律関係文書の作成,整備
売買や賃貸に関する契約書,媒介契約書の作成・見直し,就業規則の作成・見直しなどを行い,トラブルを未然に防止します。
3 トラブルの解決
不動産取引を巡るトラブルに対する示談・訴訟対応,従業員との労務管理を巡る法的トラブルに対する対応・訴訟対応など,トラブルが発生した場合にも迅速かつ的確に対応します。
藤本 尊載
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