法人企業様向け:不動産トラブル解決と予防の最前線
Contents
1 はじめに
「購入した土地に想定外の埋設物が見つかった」「サブリース契約でオーナーとの間でトラブルになった」「請け負った工事で追加費用を請求されたが、発注元が応じない」
不動産は、企業活動において重要な資産であり、その取引や管理、開発、建築には多額の資金が動きます。だからこそ、ひとたびトラブルが発生すると、事業計画の遅延、経済的損失、信用の失墜といった深刻なダメージに繋がりかねません。
本記事では、企業様が直面しやすい不動産トラブルの具体的な事例をいくつかご紹介し、トラブルが発生しやすい要因と予防策、そして、万が一トラブルが発生してしまった場合に弁護士がどのように貴社のお役に立てるのかを詳しく解説します。
2 よくある不動産トラブル事例
不動産に関するトラブルは多岐にわたりますが、法人企業様が特に直面しやすい事例とその対応についてご紹介します。
(1)不動産売買契約をめぐるトラブル
ア 不動産売買は、高額な取引であるため、契約内容のわずかな不備や、認識の齟齬が大きなトラブルに発展することが少なくありません。「契約不適合責任(旧:瑕疵担保責任)」として、引き渡し後に発見された建物の欠陥や土地の汚染をめぐる責任問題、引き渡し前の物件状況に関する説明不足、あるいは境界確定問題などが挙げられます。また、契約締結後の相手方による一方的な契約解除や、手付金の返還・違約金に関する紛争も頻繁に発生します。これらのトラブルは、多額の損害賠償責任を生じるだけでなく、プロジェクト全体の遅延や企業イメージの低下にも繋がりかねません。
イ このような場面では、弁護士が売買契約書の内容を詳細に分析し、関連法令や判例に基づき、どちらに責任があるのかを法的に整理します。そのうえで、損害賠償の範囲や金額の妥当性を検討し、証拠の収集・整理から交渉、調停、訴訟といった解決手続きまで一貫して対応が可能です。また、再発防止のために、契約書におけるリスク条項の見直しや、デューデリジェンスの徹底に関するアドバイスも行います。不動産売買トラブルは、時間とコストがかかるだけでなく、事業の根幹に関わる問題であるため、専門家である弁護士の早期介入が不可欠です。
(2)不動産賃貸借契約をめぐるトラブル
ア 不動産管理会社様やデベロッパー様にとって、賃貸借契約に関するトラブルは日常的に発生しうるリスクです。代表的なものとしては、借主による賃料滞納、明渡し交渉の難航、原状回復費用の負担をめぐる紛争、更新時の賃料改定に関する交渉決裂などが挙げられます。特に、賃料滞納や明渡しは、収益に直結する問題であり、長期化すると経営を圧迫する要因となります。また、テナントとの間で生じる騒音や用途に関するトラブル、契約解除後の残置物処理なども、しばしば問題となります。
イ このようなケースでは、弁護士が賃貸借契約書の内容を精査し、法的観点から適切な対応策を立案します。例えば、賃料滞納者に対する内容証明郵便の送付、明け渡し請求訴訟の提起、強制執行手続きの代理など、迅速かつ円滑な問題解決をサポートします。また、原状回復費用や敷金精算に関するトラブルでは、ガイドラインや判例に基づいた適正な費用負担を交渉し、貴社の利益を守ります。日常的な相談を通じて、トラブルを未然に防ぐための契約書改善提案や、特定商慣習を踏まえた交渉アドバイスも提供いたします。
(3)建築・建設工事をめぐるトラブル
ア 建設会社様や工務店様は、施主や元請け・下請けとの間で、工事の進行中にさまざまなトラブルに直面することがあります。工期の遅延、設計変更に伴う追加費用の請求、請負代金の未払い、完成した建物の欠陥(瑕疵)をめぐる損害賠償請求などが典型例です。特に、設計図書と異なる施工、現場での予期せぬ地盤問題、度重なる設計変更などが、トラブルの温床となることがあります。これらの問題は、企業の収益に直接影響を与えるだけでなく、企業としての信用問題に発展するリスクも抱えています。
イ このような場面では、弁護士が工事請負契約書の内容、工程管理の記録、変更指示書などの関連資料を詳細に確認し、どちらに責任があるのか、どのような法的請求が可能かを検討します。そのうえで、請負代金の請求、追加工事費用の回収交渉、瑕疵修補義務や損害賠償請求への対応など、貴社の利益を最大化するための法的戦略を立案・実行します。必要に応じて、調停や訴訟、あるいは専門家を交えた建築紛争調停といった手続きを通じて、迅速かつ適切な解決を目指します。トラブルの予防には、契約書の記載を明確にし、変更管理を徹底することが重要であり、そのためのアドバイスも提供いたします。
3 顧問弁護士による継続的なサポート
(1)顧問契約について
当事務所では、不動産会社、デベロッパー、管理会社、建設会社、工務店といった法人企業様と顧問契約を結び、貴社の事業特性に合わせたオーダーメイドの法的サービスをご提供しています。不動産・建築分野に精通した弁護士が、専門的な視点から貴社のビジネスを強力にサポートいたします。
(2)契約書チェック・日常の法律相談
不動産関連のトラブルを未然に防ぐためには、「問題が大きくなる前」に相談できる体制が不可欠です。日々の契約締結や取引の過程で「この条項で問題ないか」「この対応でトラブルにならないか」と思ったときに、すぐに相談できる関係性が大きな安心感につながります。当事務所では、ビジネスチャットやZoomなどのツールを活用し、顧問先企業様にとって使いやすい相談環境を整えています。重要な契約書レビューはもちろんのこと、日々の業務で生じる疑問点や懸念事項について、迅速かつ的確なアドバイスを提供いたします。
(3)トラブル発生時の対応
実際にトラブルが発生した際には、状況の整理、法的なリスク分析、対応方針の立案、代理人としての交渉、そして必要に応じて訴訟や調停、示談交渉といった手続きまで、スムーズな解決を全面的に支援します。貴社の事業継続と発展のために、迅速かつ効果的なリーガルサポートを提供いたします。
(4)弁護士に依頼するメリット
トラブルを未然に防ぎ、リスクを最小化できる
いざというときのスピード感と法的安心感がある
法的問題を弁護士に任せることで、本業に集中できる
法的リスク対応を弁護士に一任することで、経営者様や担当者様は、本来注力すべき事業戦略の策定やコア業務に集中しやすくなるのは大きなメリットです。
(5)顧問契約プラン
貴社の事業規模やニーズに合わせて、複数の顧問契約プランをご用意しております。具体的なサービス内容や費用については、貴社の状況をヒアリングさせていただいた上で、最適なプランをご提案いたしますので、ぜひ一度ご相談ください。

石垣紀彦

最新記事 by 石垣紀彦 (全て見る)
- フランチャイズ加盟店が陥りがちな法的トラブルに関する記事を掲載しました - 8月 6, 2025
- フランチャイズ本部が知るべきトラブル対策に関する記事を掲載しました - 7月 30, 2025
- 多額の未払い賃金の請求に対し、大幅な減額を獲得した事例 - 6月 2, 2022