弁護士による従業員支援サービス(EAP)について
Contents
従業員について会社でこんな事ありませんか?
- 仕事熱心な従業員が、最近元気がなくて心配だ
- 仕事中ぼーっとしていることが多く、ミスが増えているようだ
- 家庭内のことで何か心配事やトラブルを抱えてそうだ
- 従業員からプライベートな悩みについて相談を受けたが、どうして良いのかわからない
1.EAP(従業員支援プログラム)とは?
EAPとは、「Employee Assistance Program」の略称で、日本語では『従業員支援プログラム(サービス)』と呼ばれています。企業が福利厚生サービスの一環として法律事務所と契約し、従業員が無料で弁護士による法律相談を利用できるサービスです。
EAPは、アメリカで生まれた職場のメンタルヘルスサービスの一つで、米国のフォーチュントップ500企業のおよそ9割の企業が導入していると言われ、世界中に普及しています。
日本でも、近時、持続可能な企業経営(SDGs)の観点から、従業員が心身ともに健康であることは、企業の生産性を向上させ企業を成長させる基礎となるとの考え方が急速に広まっており、従業員のメンタルヘルス対策や福利厚生の一環として、弁護士による従業員支援プログラム(EAP)を導入する企業が増えています。
弁護士による従業員支援プログラム(EAP)は、従業員個人がプライベートで抱える法律問題を、企業と契約する弁護士が相談に乗ることで、従業員の不安やストレスを軽減します。EAPによって従業員のメンタルヘルスの維持・向上が可能となり、より業務に専念できる環境が確保され、企業の生産性が向上します。また、従業員の休職・離職を回避することにも繋がります。
このように、EAPは、企業による従業員のための福利厚生サービスの一環として、福利厚生の強化に役立ちます。
2021年5月には弁護士EAP協会が設立され、弁護士による従業員支援プログラム(EAP)は社会的にも注目されています。
玉藻総合法律事務所(代表弁護士 藤本尊載(たかのり))は、一般社団法人弁護士EAP協会のメンバーです。
2.どうしてEAPが必要なのか?
自らが抱える様々な課題やトラブルについて、誰にも相談することができずに悩んでいる従業員は少なくありません。プライベートで抱える悩みや課題の中には、専門家による対応が必要なケースも多くありますが、対応の遅れにより大きな問題へと発展してしまう場合もあります。
従業員が不安やストレスを抱えた不健康な状態では、仕事に対するモチベーションやパフォーマンスが低下し、商品やサービス等の品質低下、さらには顧客満足度の低下を招くおそれがあります。
また、危険な作業を伴う現場などでは、体調不良やメンタル不調による些細なミスが、大きな労働災害やトラブルを惹き起こしかねません。
さらに、長期間にわたって不安やストレスを抱えた状態が続くことで、従業員が休職や退職に追い込まれてしまうケースも少なくありません。
このように、従業員の健康管理・メンタルヘルス対策は、企業の生産性向上や業績アップに繋がるだけでなく、労働災害や業務中のトラブル、さらには休職や離職を防止するうえでも非常に重要であると考えられています。
交通事故、離婚、遺産相続、不動産トラブル、借金、刑事事件等々…。長い人生においては様々な悩みや問題が起こり得ます。従業員がこうした悩みや問題を弁護士に直接相談できる制度(EAP)を社内に整えておくことで、従業員の心理的負担やストレスを早期に軽減し、生産性低下や事故等のトラブルを未然に防止することが可能となります。従業員のメンタルヘルス対策は、持続可能な企業経営のためにも非常に重要な取組みの一つであるといえます。
3.EAP導入による企業のメリット
①企業の生産性向上
企業が成長していくためには、生産性の向上が不可欠ですが、そのためには従業員のメンタルヘルス、健康管理がとても重要となります。企業で働く従業員一人一人が心身ともに健康でその持てる力を十分に発揮できる状態にあることが、企業が成長するためには何より大切です。
従業員が心身ともに健康であることにより、モチベーションやパフォーマンスを高く保つことができ、より高品質な商品やサービス等の提供、顧客満足度の向上に繋がります。また、労働災害のリスクの低下や職場でのトラブル防止にも有効であると考えられています。
従業員が、業務外のプライベートな悩みについて弁護士に気軽に相談できる環境(EAP)を整備することで、従業員はより一層業務に集中できるようになり、会社の業務全体の効率性がアップします。また、事業の生産性も向上します。
企業にとっては、大切な従業員が大きな病気を患う前に健康診断をうけさせるのと同様、大切な従業員が法的トラブルを抱えたり、巻き込まれたりして手遅れになる前に、専門家である弁護士の相談を受けさせることができ、被害を最小限にくい止めることが可能となります。
まさに、EAPサービスにより従業員の不安やストレスを軽減することが、企業の生産性向上に直結するといえます。
②企業に対する信頼感・満足度の向上、離職率の低下
従業員が安全に・安心して働ける環境を整備することは、従業員の会社に対する信頼感や満足度の向上に大きく関わります。従業員一人一人を大切に考える企業の姿勢は、従業員にも自ずと伝わり、従業員の定着率向上、休職や離職率の低下といた効果が期待できます。このことは、人手不足が深刻化する昨今、採用や教育にかけるコスト軽減に繋がり、企業経営にとって大きなメリットになると言えます。
③企業のイメージアップ、採用強化
SDGsの普及、生産年齢人口の減少、働く人のニーズの多様化など、企業を取り巻く環境は劇的に変化しています。将来に向け、企業が成長し続けていくためには、従業員一人一人の価値観を理解し支援する「ワーク・ライフ・バリュー」の考え方が重要であり、顧客満足度だけでなく、従業員満足度を高めていくことが求められています。
従業員の福利厚生の一環として、弁護士による従業員支援プログラム(EAP)を導入することで、従業員一人一人を大切に考える企業としての姿勢を内外へ示すとともに、企業のイメージアップへと繋がり、優秀な人材を獲得採用しやすくなることが期待されます。
④コンプライアンス(法令遵守)
企業には、従業員が安全かつ安心して就労するために必要な配慮をする義務(安全配慮義務)が課されており、2015年12月からは、従業員が50人以上いる事業場には、従業員のメンタルヘルス対策として、毎年1回以上のストレスチェックの実施が義務付けられています(労働安全衛生法)。
弁護士による従業員支援プログラム(EAP)の導入は、従業員のメンタルヘルス対策や福利厚生の一環としても、また、企業のコンプライアンスの観点からも非常に有用なサポートといえるでしょう。
4.従業員の方のメリット
企業が従業員支援プログラム(EAP)を導入することにより従業員の方が得られるメリットは、以下のような点が挙げられます。
①弁護士など専門家へのアクセスが容易
EAPプログラムを導入する企業の従業員は、職場外のプライベートな悩みやトラブルについて、いつでも無料で弁護士の法律相談を受けられます。
法的な悩みやトラブルも、病気やケガと同様、できるだけ早期に専門家に相談することが重要です。
会社の福利厚生の一環として、専属の弁護士による相談窓口が置かれることで、従業員の方が個別に弁護士を探す手間が省かれ、より気軽に法律相談を受けることが可能となります。
なお、弁護士には守秘義務があり、ご相談内容が外部に漏れることはありませんので、いつでも安心してご相談いただけます。
②早期解決・トラブル防止
できるだけ早い段階で弁護士に相談することで、より良い解決に繋がりやすくなります。また、トラブルの発生や深刻化を防ぐことも可能となります。
③不安やストレスを大幅に軽減
早期に弁護士に相談することで、不安やストレスが大幅に軽減・解消されるケースは非常に多いです。中には、弁護士による法務カウンセリングを受けるだけで、悩みや問題を解決できる場合もあります。相談だけでは解決が難しい場合には、委任契約を締結のうえ、弁護士が代理人となって問題解決にあたることも可能です。
④業務への集中力向上
早期に弁護士に相談することで、不安やストレスが軽減・解消され、精神的に安定することで、業務にも集中できるようになり、モチベーションやパフォーマンスの向上、能力向上、成績アップへと繋がります。
このように弁護士による従業員支援プログラム(EAP)は、従業員が安心して仕事に取り組める環境を整備するだけでなく、従業員自身の法的問題解決にも大いに役立ちます。
弁護士は守秘義務を負っているため、相談内容が外部に漏れる心配はありません。
弁護士による従業員支援プログラム(EAP)は、企業・従業員いずれにも大きなメリットがあると言えるでしょう。
5.玉藻総合法律事務所の従業員支援プログラム(EAP)の内容
(1)サービス内容
EAPプログラムを導入されている会社の従業員の方は、私生活上の法律問題について、無料で弁護士による法律相談を受けることができます。
相談内容は、例えば、交通事故、離婚、遺言・相続問題、不動産トラブル、借金問題など様々です。
※ 相談時間 60分以内/回
※ 相談方法は、面談、Web会議システム(ZOOMなど)、電話のいずれか
※ 同一の問題に関する法律相談は2回まで無料
※ 業務に関連する問題のご相談(ハラスメント、労務トラブル、従業員間のトラブル等)は対象外となります。業務に関連する問題について、ご相談を希望される場合は、別途、ハラスメント相談・内部通報窓口等をご依頼いただくことも可能です。
※ ご相談内容によっては、弁護士が代理人となって紛争相手との示談交渉や訴訟等の法的トラブルを解決支援する場合もあります。この場合は別途費用が生じます。
(2)料金
従業員の人数 ✕ 100円/月(但し、最低1万円。税別)
6.プログラム実施までの流れ
(1)お問い合わせ
まずは当事務所までお気軽にお問合せください。
従業員支援プログラム(EAP)に関するサービス内容や費用、導入までの流れ等について、ご説明させていただきます。
(2)ご契約
サービス内容、費用についてご納得をいただけましたら、会社と当事務所との間で契約を締結していただきます。
(3)従業員向け説明会の実施
弁護士が、従業員向けに、従業員支援プログラム(EAP)の内容及び利用方法等について説明会を実施いたします。
(4)従業員支援プログラム開始
サービスの運用を開始します。
(5)定期フォローアップ
EAPサービスを導入後、定期的にフォローアップを行い、利用状況や課題等について会社と情報共有してまいります。また、必要に応じて、サービス内容の見直しや改善等を行います。
※上記以外にも、各企業のニーズに合わせて、様々なご支援・サービスをご提供いたしております。
サービス内容や費用につきましては、お気軽に当事務所までご相談ください。

藤本 尊載

最新記事 by 藤本 尊載 (全て見る)
- 5月1日(木)営業時間変更のお知らせ - 4月 23, 2025
- 【企業経営者様向け】『メンタルヘルス不調者への対処法』セミナー開催のお知らせ - 4月 15, 2025
- 製造業向け顧問サービスに関する記事を掲載しました - 4月 4, 2025