2024年問題に向けて物流、運送業者がすべき残業代請求対策とは?

1 2024年問題とは

2024年問題は、2024年4月1日から自動車運転業務における時間外労働時間の上限規制が適用される問題です。

具体的には、ドライバーの時間外労働時間の上限が年間960時間に制限されます。さらに詳細には、年間通じて720時間以内、月に100時間未満(休日労働を含む)、2〜6か月の平均で80時間以内(休日労働を含む)、時間外労働時間が45時間を超える月は年に6か月までと定められています。

この規制の違反には罰則が科される可能性があり、6か月以下の懲役または30万円以下の罰金刑が課されることがあります。

2 見逃せない2023年問題

運送業界にとっては、2024年問題だけでなく、2023年問題も見逃すことはできません。

2023年問題とは、中小企業に対し、月60時間を超える時間外労働の割増賃金率が、25%から50%に引き上げられること、および未払い残業代の消滅時効の延長にともなう問題です。

具体的には、月間で60時間以下の場合に最低25%増し、月間で60時間を超える部分には最低50%増しとなります。さらに、未払い残業代の消滅時効が2年から3年へと延長されます。

3 起こりうるリスク

(1)未払い残業代の請求

時間外労働時間の上限規制によってドライバーの労働時間は減少し、それに伴って収入も減少する可能性があります。

そのことに不満を持ったドライバーから、未払い残業代の請求が行われる可能性があります。

残業代が適切に支払われていない場合には、60時間超の割増賃金率の引き上げや、消滅時効の延長により、請求額も大きくなる可能性があります。

(2)人手不足

給与の減少により人材が他の業種に流れ、人手不足が深刻化することが予想されます。

4 企業がとるべき対策

(1)法改正を正確に理解する

労働関係法令は、改正の多い分野です。

法改正を知らなかったでは通用しませんので、経営者としては、常に、自社の業務に関連する重要な法改正を把握、理解しておく必要があります。

(2)労働時間の見直し

現状、上限規制を超える残業が行われている場合には、上限規制に合致するよう、残業時間の削減と管理が必要です。

また、従業員の健康とモチベーションの維持のためには、休日・休暇の確保も重要です。

(2)適切な労働時間把握と残業代の正確な把握

ドライバーは会社を離れて運転業務に従事するため、出社や退社時間以外は、何をしているか把握しにくい状況にあります。

特に重要なのは休憩時間の把握です。休憩時間を正確に把握する仕組みを構築し、適切な労働時間把握を行う必要があります。

そのうえで、支払うべき残業代を正確に把握し、適切に処理することが必要です。

5 当事務所が提供できるサービス

当事務所では、以下のようなサービスをご提供しております。お気軽にお問い合わせください。

(1)法規制の解説とコンプライアンス支援

労働関係法令を始めとする法改正につき、随時ご相談をお受けし、貴社のコンプライアンス体制を支援することができます。

(2)労働契約の見直しと労働条件の改善支援

労働契約見直しのための、就業規則、雇用契約書、雇用条件通知書の改定をご支援いたします。また、労働条件改善のご相談にも対応いたします。

(3)紛争解決と訴訟対応

未払い残業代請求など、労働者との紛争が発生した場合、交渉、労働審判、訴訟などにつき、貴社の代理人として対応いたします。

(4)説明会、研修の実施

労働条件変更に関する従業員向け説明会、法改正に関する勉強会の講師など、ご希望に応じてお引き受けいたします。

6 顧問プラン

当事務所は、企業向けサービスに特化した法律事務所です。

個別事案のご依頼をいただくことも可能ですが、企業経営には、いつでも気軽に、継続的に相談や依頼が可能な顧問弁護士が必要不可欠であると考えます。

以下の3つのプランより、ニーズに合わせてお選びいただけます。ぜひご検討ください。

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運送業に強い顧問弁護士

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藤本 尊載

玉藻総合法律事務所代表弁護士。企業側の弁護士として多数の顧問先を持つ。労務問題をはじめとした企業の法的トラブルに精通。他士業に向けたセミナー講師も務める。

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