「副業OK」に潜む落とし穴 企業が知らない重大リスクとは
働き方改革の影響により、従業員の副業・兼業を認める企業が増えています。
厚生労働省のモデル就業規則も「原則推進」へと改定され、副業を認めることは現代の標準的な形となりつつあります。
しかし、十分な準備がないまま副業を解禁すると、労働時間の管理や安全配慮義務の面で、企業が予期せぬ法的リスクを負うケースが見受けられます。
本コラムでは、実務上の注意点と、企業が整えておくべきルールについて解説します。
Contents
1 副業制限が認められる「4つの基準」
前提として、勤務時間外の時間は労働者の自由であり、企業が副業を一律に禁止することは法的に難しい側面があります。
ただし、以下のような場合には、合理的な範囲で副業を制限・禁止することが認められます。
本業への支障: 長時間労働により、自社での業務に影響が出る場合
秘密保持: 企業の機密情報やノウハウが漏洩する恐れがある場合
競業避止: ライバル企業への協力など、自社の利益が害される場合
信用維持: 企業の名誉や信用を傷つける活動が行われる場合
「自由だから」と放置するのではなく、「どのような副業ならOKか」という基準を明確に持っておくことが重要です。
2 見落としがちな「労働時間の通算義務」
実務上、最も注意が必要なのが労働時間の管理です。
労働基準法第38条1項により、労働時間は「事業主が異なる場合でも通算」されます。
例えば、自社で法定労働時間(8時間)働いた後に副業先で勤務した場合、その副業分は時間外労働として扱われる可能性があります。
このとき、割増賃金の支払い義務がどちらに生じるのか、また通算時間が上限規制を超えないかなど、他社の勤務状況も含めた把握が求められます。
3 安全配慮義務と健康管理
企業には、従業員の健康を守る「安全配慮義務」があります。
たとえ副業が本人の希望であっても、それによる過労で健康を害した場合、企業が状況を把握していながら是正措置を講じていなければ、責任を問われる可能性があります。
副業を認める際は、「自社と副業先の合計負荷」を考慮した健康管理が欠かせません。
4 情報漏洩・競業および信用リスク
情報漏洩・競業リスク:顧客情報や営業戦略、ノウハウが流出するリスクが高まります 。
トラブル発生後の対応は極めて難しいため、事前に禁止範囲を明確化することが不可欠です 。
企業の信用リスク:反社会的勢力との関係や公序良俗に反する活動、SNSでの不適切発信など、副業の内容によっては企業の社会的評価が低下し、経営に影響が出る恐れがあります 。
5 実務対応のポイント「副業OK」にする前にやるべきこと
制度導入にあたっては、以下のステップで体制を整えることをお勧めします。
就業規則の見直し:許可基準、禁止事由、報告義務などを明確に規定に盛り込む。
届出・許可制の運用:事前に業務内容や労働時間を申告させ、個別に判断を行う仕組みを作る。
労働時間の把握:定期的な報告を受け、過重労働にならないよう状況を確認する。
相談窓口や面談の活用:副業を前提としたフォロー体制を整え、健康維持に努める。
6 まとめ
副業・兼業は従業員の意欲向上に寄与する一方で、適切な管理がなければ法令違反やトラブルの火種となります。
大切なのは「副業を認めること」と「リスクを管理すること」を両立させる仕組み作りです。
当事務所では、貴社の実情に即した就業規則の整備や、労務管理体制の構築をサポートしております。制度の導入や現在の運用に不安をお持ちの際は、どうぞお気軽にご相談ください。
藤本 尊載
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