取引先とのトラブル

1 はじめに

「納品したのに支払いがない」「急に契約を打ち切られた」「発注内容と違うと言われた」

取引先とのトラブルは、突然やってきます。そして、それが経営に与えるダメージは決して小さくありません。

本記事では、よくある取引先との企業間トラブルの事例をいくつかご紹介し、それぞれの場面で弁護士がどのようにお役に立てるのかをお話します

2 よくある契約トラブル事例

(1)契約内容の食い違いによるトラブル

ア 企業間の取引では、「契約書に書かれていない内容」や「言葉の解釈の違い」が原因で、契約の内容や責任の範囲、費用の負担などについて意見が食い違い、トラブルに発展することがあります。

こうしたトラブルは、口頭でのやりとりや曖昧な契約書の表現、確認不足などが原因となって起こりがちです。

結果として、プロジェクトの停滞、信用の低下、訴訟リスクの浮上など、企業活動に大きな影響を与えるおそれがあります。

イ このような場面では、弁護士が契約内容の法的な解釈を行い、どこにリスクがあるのかを整理します。

そのうえで、関係資料の確認や証拠の取りまとめ、さらに交渉・調停・訴訟といった解決手続きまで対応が可能です。

また、同じような問題が再発しないよう、契約書をチェックして曖昧な表現を見直し、企業を守るための契約内容へ改善するご提案も行います。

契約トラブルは、発生後の対応に時間とコストがかかるだけでなく、取引先との信頼関係にも大きなダメージを与える可能性があります。

弁護士のサポートを活用することで、トラブルの早期解決とリスクの最小化、さらに契約実務の強化にもつながります。

(2)納品の遅れをめぐる損害賠償請求

ア 取引先への納品が契約で定めた期日より遅れてしまうと、発注側にさまざまな損害が発生することがあります。

たとえば、営業チャンスの損失や、再販・再契約の遅れ、取引先からの信用の低下などです。

その結果、納品側に対して損害賠償を請求されたり、反対に納品側が「責任はない」と争ったりといったトラブルが起きます。

特にシステム開発、製造、広告制作などの分野では、このような問題が起こりやすい傾向があります。

イ このようなケースでは、弁護士が納期遅れの原因を分析し、どちらに責任があるのかを法的に整理します。

そのうえで、過失の有無や損害額が妥当かどうかを検討し、必要であれば和解交渉などを通じて、ダメージを最小限に抑える対応を行います。

(3)一方的な契約解除への対応

ア 取引先から、事前の協議もなく、正当な理由も示されずに契約を一方的に解除されるというケースも少なくありません。

たとえば、納品直前の突然のキャンセルや、継続的な業務委託の打ち切り、すでに発注されていた業務の一方的な停止などです。

こうした行為は、仕入れや人員配置、外注先との調整、生産計画などに影響を及ぼし、企業に大きな損害をもたらす可能性があります。

イ このような場面では、弁護士が契約内容を丁寧に確認し、「その解除は契約上許されるものか」「不法行為にあたる可能性はないか」などを法的に検討します。

必要があれば損害賠償の請求や訴訟対応も行い、正当な権利を確実に守るためのサポートを行います。

こうした契約解除は、企業経営に与える影響が非常に大きいため、スピーディかつ的確な対応が求められます。

また、そもそもトラブルを防ぐためには、契約段階から弁護士のアドバイスを受けておくことが、リスク回避につながる重要なポイントです。

(4)過度なクレームや脅しへの対応

ア 取引先とのやり取りのなかで、業務上の指摘や要望の域を超えた、行き過ぎたクレームや威圧的な言動に直面することもあります。

たとえば、

執拗な謝罪や過剰な値引きの要求

根拠のない損害賠償請求の繰り返し

「取引を切るぞ」「SNSで晒す」といった脅し

暴言を交えた交渉や恫喝的な態度

こうした行為により、現場の担当者が疲弊してしまっているケースも少なくありません。

これらは、単なるクレームの範囲を超えたカスタマーハラスメントや、場合によっては強要罪・名誉毀損・業務妨害といった違法行為に該当する可能性もあります。

イ このような場合、弁護士が相手の言動が法的に問題があるかを判断し、適切な対応方針を助言します。

必要であれば、弁護士が窓口となって相手方とのやり取りを一手に引き受け、現場の負担を軽減することが可能です。

さらに、悪質な場合は、警告書の送付や刑事告訴、損害賠償請求訴訟などの法的措置を視野に入れて、毅然と対応する必要があります。

「顧客だから」「長年の取引先だから」といって放置してしまうと、企業の信用・業務運営・従業員の安全にまで悪影響が広がりかねません。

弁護士を活用することで、法的根拠に基づいた対応ができ、トラブルのエスカレートを防ぐとともに、健全な取引関係を守ることができます。

3 顧問弁護士による継続的なサポート

(1)顧問契約について

当事務所では、さまざまな業種の企業様と顧問契約を結び、それぞれの業界特有の事情に配慮した法的サービスをご提供しています。

(2)契約書チェック・日常の法律相談

トラブルを未然に防ぐためには、「問題が大きくなる前」に相談できる体制が欠かせません。

日々のやり取りの中で「少し気になる」「この対応で大丈夫か」と思ったときに、すぐ相談できる関係性が大きな安心感につながります。

当事務所では、ビジネスチャットやZoomなどのツールを活用し、顧問先企業様にとって使いやすい相談環境を整えています。

(3)トラブル発生時の対応

実際にトラブルが起きた際には、状況の整理、対応方針の立案、代理人としての交渉や対応など、スムーズな解決を支援します。

(4)弁護士に依頼するメリット

トラブルを未然に防げる

いざというときのスピードと安心感がある

法的リスクを最小限にし、経営に集中できる

法律対応を弁護士に任せることで、経営者が本来注力すべき業務に集中しやすくなるのも大きなメリットです。

(5)顧問契約プラン

ご要望に合わせて、複数の顧問プランをご用意しています。

貴社のニーズに応じて最適なサービスをご提案いたしますので、ぜひ一度ご相談ください。

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石垣紀彦 

香川県弁護士会所属。景品表示法やインターネット上の誹謗中傷・風評被害、労働問題(使用者・経営者)、損害賠償問題全般などの分野に積極的に取り組む。削除や発信者情報開示、未払い賃金請求の対応など幅広い分野での経験と実績を有する。